44.班別制度の盲点を突く
班別制度という言葉ほど、盛んに口にせられ、その重要性を説かれること、おそらく他に比べるものはなかろう。それほどこれは、スカウティングの主軸であって、この軸が、もし無かったら、隊も、団も、地区も、県連も、日連組織もその骨を失うというてよい。
しかるに、いうは易く、行うは難しで、仮に分析鏡で現状を透視したならば、何パーセントが、クソマジメに実施しているか。私は、不安にならざるを得ない。
班が、自班固有のテント、炊具、工具を育成団体からととのえてもらい、常にその班の、基本構成全員で野営するとか、ハイキングするとか、であるならば、これはクソマジメに班別制度を実施しているといえる。
ところが、毎度の野営に、班全員皆出席するとは保証出来ない。誰か不参加者がある。もし、3人しか参加しない班があった場合、隊長は、その3人でもいいから固有の班として頑張らせるだろうかどうか?
私はおそらく、他の欠席者の多い班と合併した臨時編成の班をつくって、まにあわせるのではなかろうか? と思う。こうなると、単に人数をそろえただけの班であって、本来の班別制度ではなくなる。
そこへさして、隊には班の数だけのテントがない、炊具がない、工具がない、というわけで、やっと買ってある1張りか2張りの隊のテントを班に貸して、かわるがわるキャンプさせるとか、テント屋あたりから、損料を払って借りて来たテントで間にあわせる。というようなことであるならば、これも「本当の班別制度ではない」と、私は極論したい。
ただし、新しい団が、最初から班の数だけ野営具をととのえてやることについては、経済上むつかしいことは充分わかる。だが、それは、何カ年計画かで達成してやることが育成団体の責任であろう。隊長の側からも、育成団体または団委員会に要求するのが、当然な責務だといえる。
県連大会とか、キャンポリーとか、日本ジャンボリーとかに、借り物のテントや、よせ集めの炊具工具により、臨時編成の班を作り、俗に「特2」といわれる、にわか仕込みの2級のアタマカズだけをそろえて参加する、というような事実が、もしあるならば、形はスカウト野営であるように見えても、「班別制度」は台ナシであろう。
ただ、アタマカズだけ揃えて、キャンプさえすれば、スカウティングは成功している。と考えたら、大変な錯覚である。
団が、隊が貧乏で、いまただちにこの基準に達し得られない、としても、目標を本来の班別制度実施という点において、何年計画かで到着せねばならないのではあるまいか。
こういう大切なことをヌキにして「創立10周年記念」のお祝いをしたり、記念品に莫大なお金をかけたりして、トクトクしている隊、団、があるのではなかろうか。と、ひそかに憂うのである。
(昭和33年9月22日 記)