2010年01月06日

ちーやん夜話集13「新しい時代に生きるスカウト教育」

13.新しい時代に生きるスカウト教育
 今日の新教育というものは、アメリカの碵学ジョンデューイの学説を基盤としていることは誰しも知るところである。70才を超えるこの考碵学の教育説は今は全世界のデモクラチック諸国の教育に対する光である。
 アメリカのスカウト教育がその影響を蒙っているらしいことは想像される。また逆にスカウト教育がデューイに影響した点もあるのではあるまいか? この間の消息については残念ながら何一つ知る手がかりがない。

 イギリスに生まれたスカウト教育法は、世界各国に伝播して、それぞれの国風と行き方に取り入れられた。
 その例としてドイツやイタリーの改ざんは周知のごとく失敗した。ソビエート化したピオニールの現状はわからない。唯アメリカでのスカウティングは最近20年間に非常な研究と改良を見たのである。それはアメリカの建国以来のパイオニア精神と合致し、その公民教育と合致し、そしてデューイの学説と一致したからであるらしい。
 これらに関しては私は今後の研究にまつ代はない。今日の処、単なる想見の域を出ない。
私はデューイの教育学説について有名なニューヨーク大学のホーン教授(Herman Harrell Horne)が新教育の特長として25項目をあげている。それを一見しようと思う。
 次の項目の番号に私が〇印をつけたものは、スカウト教育と共通したものであることを示す。
1.○児童を中心とすること
2. ○児童生徒の教育参加
3.○ 個人尊重
4. ○プロジェクトメソッドの採用
5. ○討論法、協議法の採用
6. ○為すことによって学ばせる
7. ○「作業―学習―遊戯」のプラン
8. 形式的学級教授の縮滅乃至廃止
9. ○内的動機に基礎を置く
10. ○支配しない(教師は案内し指導するにとどまる)
11.学校の生活化
12.校舎の改革(学級教授が廃されるので校舎の形態が変わる。図書館、実験室、作業工場の結合が校舎である)
13.学校を社会生活の中心とする
14.○児童生徒の興味を尊重する
15.○論理方法よりは心理的方法
16.○自由訓練(強制を避ける)
17.○課外活動(エキストラカリキュラムを本体化する)
18.教科課程観の改修
19.知能検査の採用
20.学力測定の採用
21.下級中学制の採用
22.○職業による教育の重視(職業のための教育ではない)
23.○社会心の涵養
24.○国際心の涵養
25.○経験の改造を教育目標とする
 以上の通り17/25はスカウト教育が既にこれを実施している。私は最後の“25経験の改造を教育目標とする”という意味についてその説明を引用しよう。
――新教育では教育を極めて広く考える。教育は生活そのもののごとく広く大きいのである。教育されるものも個人にとどまらない。集団や社会の生長が考慮される。教育とは単なる心の訓練でなく、智識の伝達でなく、過去の繰り返しでもなく、将来への単純なる準備でもなく、性格破産者の矯正を意味するものでもない。個人的なまた社会的な経験を改造し再組織し変形するにある。というのが新教育における教育の考え方である――。とこれ即ち、デューイの経験改造説から来ている。
 以上のとおりスカウト教育は、正に新教育の要素を沢山備えている。そこで学校教育が新教育になったとき、それはスカウトとダブルことになるから、その時もはやスカウト教育は不要になるのではないか? と速断する先生方が出るかも知れない。だが、私はやはり二本建ては必ず存在しなければならぬと考える。それどころか、学校教育が、新教育の途を前導すればするほどスカウト教育は必要度を増すのだと思う。それは青少年の人格陶治(教育)において、まさになさねばならぬ領域と量の拡大は、到底学校教育だけでは時間的空間的に賄い切れぬからである。
 かくて“Once a Scout always a Scout”という言葉は真理であって、スカウティングそのものも未来永劫不減である。
(昭和25年2月25日 記)

Posted by tsutsumi at 2010年01月06日 10:36
コメント